心が晴れるように働きかけるべき介護職の対応

介護職にとって、食事・排泄・入浴の介助やレクリエーションだけではなく、高齢者の心のケアも大事な仕事です。心のケアを目的としてセラピーを行っている施設も多く、その種類はアロマを使用したものや足を中心にケアを行う足裏セラピーなどさまざまです。特に介護施設にいる高齢者は、慣れない環境や身体の不調にストレスを感じたり、今までできていたことができなくなることで喪失感を感じています。長期間にわたりストレスを感じると、高齢者うつを発症する恐れがあります。高齢者うつは心のケアに重きを置く必要があり、介護現場での各種セラピーはこうした心の不調の改善にも役立つといわれています。

高齢者うつによく見られる症状には、常に焦りや緊張、不安を感じたり、精神的に落ち着かなくなることなどがあります。逆に無気力になって妄想を起こすこともあり、認知症と似ている部分もあります。抑うつだけではなく、頭痛や胃の不快感といった身体的な不調を訴える高齢者もいます。この高齢者うつへの対応は、まずはよく話を聞くことが大切です。無理に話をさせる必要はありませんが、不安なことや悲しいことを正直に話してもらえたら、心の負担を少し軽くできるでしょう。

高齢者の場合、耳が遠い人や入れ歯の影響で滑舌が悪くなっている人もいます。話が通じることはもちろん大切ですが、話を真摯に受け止めること、親しみや尊敬を表現することも大切です。アドバイスをしたり励ましたりすることは、むしろ逆効果です。何か大きな決断を無理にさせたり、原因を徹底的に追及して本人を責めるようなことになっては、さらに抑うつ状態になってしまいます。距離感を確認しながら、少しでも心が晴れるように丁寧に対応しましょう。